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手仕事には神が宿る

「手仕事には神が宿る」と言ったのは、インドのM、Kガンディーです。
ガンディーは非暴力で英国からの植民地支配からインドを独立へと導いた人です。

先日、卒園児のようこちゃんのお母さんから手縫いで作るズボンの作り方を教わりました。
ようこちゃんのお母さんは今、ラオスに近いタイの国で民宿を営んでおられます。
その近くの村の人たちは、生活に必要なものはほとんど手作りで作るのだそうです。
着る服も、綿を育てそれを糸に紡ぎ、布を織り、染め、そして服に仕上げます。

かつて私はミシンで簡単な服を作ったことがありますが、ミシンは上糸と下糸のバランスが崩れると糸がつり、イライラしながら作ったことを思い出します。
ところが、手で縫う作業は心地よくゆったりと柔らかな幸せな気持ちで満たされました。
そんな体験をしたとき、新聞でガンディーの記事を見つけたのです。

ガンディーは単に英国から政治的に独立すればいいと思っていませんでした。
本当の非暴力とは、人間のあるべき姿とは何かを、人々に説きつづけるものでした。

英国は、十八世紀の産業革命以降、機械で作った大量の綿製品を植民地化したインドに売りつけました。これより英国は栄え、綿織物が盛んだったインドには多くの失業者が生まれました。

富めるものが貧しい人々から摂取することで発展するシステムをガンディーは「経済の暴力」と痛烈に批判しました。機械文明が人間を狂わせていると考え、糸車で自らの衣服を作るよう呼びかけたのだそうです。

さて今、日本に住む私たちはどうなのでしょうか。
ガンディーは、
「現在、先進国で暮らす人々の極めて豊かで便利な都市生活は、アジア、アフリカ、その他世界中から持ち去られた財貨によってのみ可能となっている。人間の真の自由は、機械文明が作るグローバル経済から独立した一人ひとりの手仕事の中にある」と述べておられます。

先日、「機械やロボットが私たちの仕事を奪う。」というテレビ番組を見ました。
近い将来、いやすでに始まっているのですが、人間の仕事が機械にとって変わり仕事がなくなるというのです。
最近、人工頭脳ということも話題になっていますが、なんだか恐ろしい世の中になるような予感がします。機械が人間を支配する世界。S、Fのような世界が始まろうとしているのでしょうか。
「しんどい仕事はみんな機械にまかせ、私たちはのんびり遊んで暮らせはいいのよ。」という人もいますが、さてそれで人は幸せなのでしょうか。

ガンディーの魂の言葉から、
「機械は人々の労働を軽減するもの、そう言われている。しかし、注意して欲しい。機械はそんな博愛の心で動かされていない。一握りの人々が莫大な富を生み出すため動かしている。機械は、そのために職を失った人々を飢餓の道端に放り出し、彼らに渡されるべき富を、一部の人々に集めるために働いているのだ。」

自給自足や簡素な生活を重んじるガンディーの思想は時代錯誤なのでしょうか。

大量生産、大量消費という社会のあり方で日本の経済は成長してきました。
でも、それはもう行き詰まりを見せているのも現実です。
今、社会がなんとなく不安定な状況にあるのもそのためなのかもしれません。
日常に必要なものをできるだけ自分たちの手で作り出すこと。
今までの生活スタイルを少しずつでも変える努力をすること。
そのことによって本当の豊さを手に入れることができると思います。

私たちの活動もその一つだということをあらためて認識しました。
先日、春のバザーが開催されましたが、保護者の方たちが心をこめて作ってくださった物がたくさん並びました。

日常の保育の中でも、自分の手で、色々なものを作ることの喜び。
機械で動くおもちゃではなく、子どもたちの手によってあそびが作り出される素朴なおもちゃたち。そのような環境の中で子どもたちを育てることの大切さもあらためて感じています。
この活動は、子どもたちの健やかな身体を作るのと共に、地球の自然を守り、思いやりの心を育んでくれます。

私たちの活動は、今は本当に小さく微力ですが水面の輪のように優しい人たちの中で広がっていく予感がします。

ガンディーの魂の言葉
 私は信じている。
 人々を思う純粋な愛のあるところには、必ずや神がいらっしゃると。
 だから、糸車を回すたびに、この糸の一本一本に宿る神を感じるのだ。
 手仕事には神が宿る。


樋口 早知子

by kusunokien | 2016-04-11 10:57 | くすのき園つうしんより